本学園茨城女子短期大学の小野名誉教授の連載記事 第6回が、茨城新聞『茨城論壇』に掲載されました。
掲載された記事を以下に転載しています。ぜひご覧ください。
フレーベルの思想導入
恩物(幼児玩具)については、発明者のフレーベル夫妻を紹介し、夫妻は、人間の心身の発育も草木発生の理に等しいことを悟り、幼児に適した玩具を制作し、遊戯を組み合わせ幼児自ら使用し導きだし、幼児の成長を助けるための基礎とした。しかし、「恩物の使用を上手く使用出来ない人もいて、恩物が却って子どもの発達を妨げるものであると認識する人もいることもやむを得ないことである。」と書き、保母自身が、恩物を「活動視」し、生きいきとしたものとして扱わなければならないとしている。
フレーベルの説により、恩物を三つの種類に区別。一つは、知識(数量の学習)の開発、二つは、技能(生活の再学習)の開発、三つは、美術心(形を表現)を開発することにあるとして、以下恩物の順序をあげてそれぞれについて説明をしている。
芙雄は、松野クララから直接フレーベルの教育主義を指導され、フレーベルは、幼児教育は遊びを通して行うもので、感覚と感性を大切にして子どもたちの関わり合いの中から自然に育てて行くべきであるとした。
絵画や、遊戯や、積木や、粘土遊びの中では、芙雄は、大変苦労をし、手探りの中で実践し、無いものは自分たちの手で創りだし、補い、創意工夫しながら指導している。その創意工夫の精神は、現代の教育にも通じるものがあろう。
芙雄は、「幼稚園」についての記述に、1890年9月6日発行の『女学雑誌』第229号に「幼稚園」と題して、「子女の始めて父母の膝下を離れ社会に出る第一の初等級ともいふべきものは彼の幼稚園なり。」と書き、次に「幼稚園なるものは、取も直さず児童の発育する一つの庭園なれば、これが管理者即ち保母なる者は園芸師なる故に保母の目的とする所のものは、技術に非ず、才学に非ず。只管自己の温和と徳儀とを充実せし精神を以て児童の発育を開誘(教え導くこと)し」とあり、『保育の栞』冒頭の「幼稚園」の内容と一致するものがあろう。同じく『女学雑誌』に掲載された「幼稚園」には、「唯身体の強健と良心とを涵養して天賦の活動発育を助け児童の精神をして毎に爽快の間に措かしむるを旨とすべきなり。(即ち知育的に陥るもの)戒めざるべからず。」としている。これも芙雄の一貫しての教育理念となるものであり、最も早くから説かれているもので、生涯にわたりぶれることのない芙雄の教育理念の根幹をなすものである。
「保母の資格」では、「毎日吾が心性を温和にして爽快活発ならしめ、懇篤にて慈愛深く物事に注意周到にして能く忍耐し、恰も『春霞の朗霞たる如く精神常に爽快にして』且つ音楽唱歌に熟練し、遊戯と恩物の使用法とに熟練。常に清潔を愛し、物事の秩序を正しくし、事物を能く整頓する規律を実行し、又、美術への想いが必要である。そして又、説話を明らかに為すことを望むなり。空談を為すよりも、図画、博物或は標本に就きて説話するを良しとす。」としている。
保母の資格というよりは、保母としてのあり方や指導方法が主となっている。
清潔で、美術の心を持ち、読み聞かせが出来る事をあげている。爽快な気分を春霞のたなびく様子に比喩表現し、そのような上機嫌な心を持って指導に当たることを特に強調したものである。
「保育の注意」では、子どもの病気や怪我のことを先ず挙げ、観察と看護を怠らないように注意し、応急手当の方法をわきまえ冷静に対応しなければならないとしている。
